1. 確定申告の基本と必要性
1.1 確定申告が必要なケース
状況 | 申告要否 | 備考 |
---|---|---|
特定口座(源泉徴収あり) | 不要 | 確定申告不要制度の対象 |
特定口座(源泉徴収なし) | 必要 | 年間損益の申告が必要 |
一般口座 | 必要 | 取引記録の保管が重要 |
NISA口座 | 不要 | 非課税投資枠内の取引 |
1.2 確定申告の期間と期限
項目 | 内容 | 注意点 |
---|---|---|
申告期間 | 2月16日〜3月15日 | 土日祝日は除く |
受付時間 | 8:30〜16:00 | e-Taxは24時間対応 |
還付申告 | 期限後でも可能 | 5年以内 |
📌 ポイント
特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合でも、損失の繰越控除を適用する場合は確定申告が必要です。
2. 投資収益の種類と税率
2.1 主な投資収益の税率
収益の種類 | 税率 | 課税方式 |
---|---|---|
株式売却益 | 20.315% | 申告分離課税 |
配当所得 | 20.315% | 総合課税or申告分離課税 |
ETF売却益 | 20.315% | 申告分離課税 |
投資信託売却益 | 20.315% | 申告分離課税 |
※20.315%の内訳:所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%
2.2 口座種別の特徴
口座種別 | 税金の徴収 | 確定申告 | 管理の手間 |
---|---|---|---|
特定口座(源泉徴収あり) | 自動徴収 | 原則不要 | 少ない |
特定口座(源泉徴収なし) | 自己管理 | 必要 | 中程度 |
一般口座 | 自己管理 | 必要 | 多い |
NISA口座 | 非課税 | 不要 | 少ない |
⚠️ 注意点
複数の証券会社で取引をしている場合、各社からの取引報告書を合算して申告する必要があります。
3. 新NISA制度の税務
3.1 新NISA制度における非課税の仕組み
投資枠 | 年間投資上限 | 非課税期間 | 対象となる収益 |
---|---|---|---|
成長投資枠 | 240万円 | 無期限 | 売却益・配当金 |
つみたて投資枠 | 120万円 | 無期限 | 売却益・分配金 |
3.2 非課税投資のポイント
□ 非課税投資総額:1,800万円まで
□ 売却分の再投資:可能
□ 損失の通算:不可
□ 期間:無期限
💡 実践的アドバイス
非課税期間が無期限となった新NISA制度では、長期投資のメリットがより大きくなっています。積極的な活用を検討しましょう。
4. 確定申告の具体的手順
4.1 申告に必要な書類
書類名 | 入手方法 | 備考 |
---|---|---|
年間取引報告書 | 証券会社から送付 | 1月末までに到着 |
支払調書 | 証券会社から送付 | 配当金がある場合 |
マイナンバーカード | – | コピー可 |
本人確認書類 | – | 運転免許証など |
4.2 e-Tax申告の手順
- 準備段階
- e-Tax利用者識別番号の取得
- マイナンバーカードの準備
- ICカードリーダーの用意
- 申告書作成手順
- 国税庁HPの確定申告作成コーナーにアクセス
- 利用者識別番号でログイン
- 画面の案内に従って情報入力
- 送信前に内容の確認
- データの保存と控えの印刷
⚠️ 申告時の注意点
– 申告期限(3月15日)に余裕を持った提出を – 控えは5年間保管が必要 – 複数口座がある場合は合算して申告
5. 特に注意が必要なケース
5.1 損益通算のケース
ケース | 通算可否 | 具体例 |
---|---|---|
株式同士 | 〇 | 国内株式とETFの損益 |
株式と投信 | 〇 | 上場株式と投資信託の損益 |
NISA内の損益 | × | NISA口座内の損益は通算不可 |
一般口座と特定口座 | 〇 | 合算して申告が必要 |
5.2 繰越控除の活用
年数 | 控除可能額 | 必要書類 |
---|---|---|
1年目 | 全額 | 確定申告書・損失申告書 |
2年目 | 残額全額 | 前年の申告書類も必要 |
3年目 | 残額全額 | 過去2年分の書類も必要 |
6. 申告時の控除と損益通算
6.1 控除の種類と要件
控除の種類 | 適用条件 | 控除額の計算方法 |
---|---|---|
配当控除 | 国内株式の配当 | 配当額×10%(上限あり) |
株式譲渡損失 | 確定申告が必要 | 損失額を所得から控除 |
特定口座内通算 | 自動的に適用 | 証券会社が計算 |
6.2 控除額の計算例
【例1:配当控除の計算】 配当金収入:20万円 控除率:10% 控除額:2万円
【例2:損益通算】 株式A:利益30万円 株式B:損失20万円 課税対象:10万円
7. よくある質問と回答
Q1. 特定口座(源泉徴収あり)でも確定申告は必要ですか?
A1. 原則不要ですが、損益通算や繰越控除を適用する場合は必要です。
Q2. 確定申告の期限に間に合わない場合はどうすればよいですか?
A2. 期限内に電子申告または郵送で「申告期限延長申請書」を提出してください。
Q3. 年間の売買回数が多い場合の申告方法は?
A3. 特定口座の年間取引報告書の合計額を使用できます。個々の取引を記載する必要はありません。
Q4. 海外ETFの配当に関する申告は?
A4. 国内株式と異なり、配当控除の対象外です。為替レートにも注意が必要です。
確定申告のチェックリスト
□ 必要書類の収集
□ 損益の計算と確認
□ 期限の確認
□ e-Taxアカウントの準備
□ 控えのスキャンと保存
まとめ:スムーズな確定申告のために
- 書類は年初から準備を始める
- 取引記録は定期的に整理する
- 不明点は税理士に相談する
- e-Taxの活用で時間を節約
- 期限に余裕を持って申告する
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